解説記事

民間教育事業の認定要件 ― 4要件で自社の対象性を判定する

公開日: 2026年5月21日

日本版DBSの認定対象となる「民間教育事業」には、こども家庭庁が示す4つの要件があります。学習塾・スポーツクラブ・音楽教室など、自社の事業がこの要件を満たすかどうかを判定するための具体的な基準を、公開資料に基づいて整理します。

1. 認定対象となる「民間教育事業」の前提

日本版DBSの認定対象事業者は、「民間教育保育等事業者」と呼ばれます。このうち学習塾・スポーツクラブ・音楽教室などが該当する類型は**「民間教育事業」**です(民間保育事業は別類型)。

民間教育事業として認定を受けるためには、「技芸又は知識の教授」を行う事業であることが大前提となります。学習塾の学習指導、ピアノ教室の演奏指導、サッカークラブの技術指導などはこれに当たります。場所を提供するだけのプレイパークなどは、教育を主目的としていないため対象になりません。

この前提を満たしたうえで、さらに次の4つの要件をすべて満たす必要があります。

4つの認定要件(こども家庭庁資料より)

① 修業期間要件 / ② 対面要件 / ③ 場所要件 / ④ 人数要件

2. 4つの要件を順に解説

要件① 修業期間要件

6か月以上の期間中に2回以上、同じこどもが参加できること

事業の継続性を見る要件です。同じこどもが反復・継続的に通うことが想定されているかどうかで判断されます。短期講習や一回完結のイベントだけで構成された事業は、原則として対象外です。

満たす毎週通う通常コース、月1回×2年の体験プログラム、夏休み・冬休みを通じて参加する一連のキャンプなど、継続性のある構成
満たさない7月に1回・12月に1回、それぞれ独立した別プログラムとして実施されるもの。1日完結のイベントのみで構成される事業

要件② 対面要件

こどもと対面で接することがあること

事業の実施形態としてオンラインのみで完結するものは、認定対象になりません。ただし、オンラインを基本としつつ対面指導の機会もある場合は対象となります。重要なのは「対面で接する場面があるかどうか」です。

満たす通学型の教室・スクール、対面レッスン中心の事業、オンライン指導を併用するが対面の機会もある事業
満たさない完全オンラインで対面指導が一切行われない事業(オンライン家庭教師、オンライン英会話などのうち対面機会のないもの)

要件③ 場所要件

こどもの自宅以外(オフィス、カフェ、教室、レンタルスペース等)で教えることがあること

事業者が用意した空間や、それに準ずる外部スペースで指導が行われるかどうかを見る要件です。自宅指導のみの事業は、第三者の目が届きにくい状況をつくるという問題以前に、事業者の管理する空間で行われていないとして対象外になります。

満たす教室・スタジオ、スイミングプール、公民館の借室、レンタルスペースを利用するレッスンなど
満たさない家庭教師(訪問型)、訪問ピアノレッスンなど、こどもの自宅でのみ実施される事業

要件④ 人数要件

こどもに教授を行う者が3人以上であること

事業の規模を見る要件です。ここでいう「教授を行う者」には、正社員のほかパート・アルバイト・業務委託の講師なども含まれます。事業全体での合計人数で判断されます。

満たす経営者1人+アルバイト講師2人で運営する教室(計3人)、複数のインストラクターを抱えるスポーツクラブ
満たさない個人事業主が1人で運営するピアノ教室、家族2人だけで運営する小規模教室

※ 人数の基準は今後の政令で正式に定められます。最新の動向はこども家庭庁の公式情報をご確認ください。

3. 4要件を業態別に当てはめる

上記の要件を、民間教育事業の代表的な業態に当てはめると次のように整理できます。

集団指導型の学習塾(通学型)

通常、修業期間・対面・場所のすべてを満たします。講師数も3人以上いるケースが多いため、4要件をクリアし認定対象になり得ます。

個別指導型の学習塾(通学型)

集団型と同様に4要件を満たすことが多いです。さらに、講師1人とこども1人の指導は「閉鎖性」が顕著なため、安全確保措置の実装に特に注意が必要です。

オンライン家庭教師(完全オンライン)

対面要件を満たさないため、原則として認定対象外です。ただし、対面の補習やイベントを併用する事業形態であれば対象になり得ます。

訪問型の家庭教師・出張レッスン

場所要件(こどもの自宅以外で教える)を満たさないため、原則として認定対象外です。なお、訪問型であってもオフィスや借室での指導機会があれば対象となり得ます。

個人事業主による小規模教室

個人事業主が運営する教室は、認定対象として2つの観点で整理されます。第一に、講師が3人未満であれば人数要件(④)を満たしません。第二に、これとは別の論点として、個人事業主そのものが現時点では認定対象に含まれていないという整理があります。法の付帯決議では、個人事業主への制度適用について政府に検討を求める内容が盛り込まれており、将来的な制度見直しの対象とされています。

4. 認定取得には別途の体制要件もある

ここまで述べた4要件は、あくまで「認定対象事業として認定を申請できる事業かどうか」の入口の判定です。実際に認定を取得するためには、これとは別に、安全確保措置・情報管理措置などの体制整備が認定基準として求められます。

「2種類の人数要件」に注意

民間教育事業の認定には、混同されやすい2種類の人数要件があります。両者は別物として整理しておく必要があります。

要件内容
人数要件(④)事業として認定対象になるための要件。講師・インストラクター等が3人以上いること
情報管理体制の人数要件認定基準を満たすための体制要件。情報管理責任者を含めて従事者が2人以上であること

事業内容の要件(4要件)と、運営体制の要件(情報管理2人以上含む)を分けて理解することが重要です。「講師は3人以上いるけれど情報管理を任せられる人がいない」というケースでは、情報管理体制を別途整える必要があります。

まとめ

民間教育事業の認定要件は、4つの判定軸で機械的にチェックできます。

  1. 6か月以上の継続的な事業か(修業期間要件)
  2. 対面で接する機会があるか(対面要件)
  3. こどもの自宅以外で教えるか(場所要件)
  4. 教える人が3人以上か(人数要件)

4つすべてを満たして初めて、認定申請の入口に立てます。自社が要件を満たすことを確認できたら、次は認定取得に向けた体制整備のステップに進みます。次回の解説記事では、認定取得後に求められる「犯罪事実確認の実務」について詳しく解説する予定です。


関連記事: 義務なのか認定なのか、それとも共同認定? ― 自社がどこの立場なのか確認する →


本記事は2026年5月時点の情報に基づき、こども家庭庁公開資料および施行ガイドラインを参考に作成しています。最新の動向はこども家庭庁の公式情報もあわせてご参照ください。

運営: 社会保険労務士法人アクセル / 日本版DBS支援センター(nihonbandbs.com)

本記事は一般的な解説を目的としており、個別の対応方針は事業内容・運営実態により異なります。 具体的な対応についてはヒアリングのうえご案内します。

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