日本版DBSとは|制度の全体像と事業者が今から準備すべきこと
公開日: 2026年4月20日
この記事のポイント
- 日本版DBSは2026年12月25日に施行される
- 法定対象(義務)と任意認定(民間教育保育等事業者)の2つの類型がある
- 対応は「犯罪事実の確認」だけでなく、就業規則・相談窓口・研修・情報管理まで広範に及ぶ
- 施行後の日常運用に耐える体制づくりが事業者の本質的な課題になる
日本版DBSとは何か
「日本版DBS」は通称で、正式には 学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律(こども性暴力防止法)を指します。2024年6月に成立し、2026年12月25日に施行されます。
英国のDBS(Disclosure and Barring Service)制度を参考に、こどもに接する職業に就く者の特定性犯罪歴を確認する仕組みを日本に導入するもので、こどもを対象とした性暴力を未然に防ぐことを目的としています。
対象となる事業者の類型
対象事業者は大きく2つに分かれます。
① 法定対象(義務)
- 学校(幼稚園を含む)
- 認可保育所、認定こども園
- 児童福祉施設(児童養護施設、乳児院、障害児入所施設等)
- その他、法令で定められた対象施設
これらは法律上の義務として、犯罪事実確認等の対応を行う必要があります。
② 任意認定(民間教育保育等事業者)
- 学習塾、予備校
- スポーツクラブ、スイミングスクール
- 認可外保育施設
- 放課後児童クラブ、学童保育
- 音楽教室、ダンス教室、習い事教室全般
- その他、こどもに継続的・反復的に接する民間事業
これらは任意で認定を受けることで、制度に参加する仕組みとなっています。認定を受けた事業者は、信頼性を示す手段として活用できます。
対象事業者の3要件(支配性・継続性・閉鎖性)
民間教育保育等事業者が対象となるかの判断基準として、以下の3要件が挙げられます。
- 支配性:事業者がこどもに対して指導・監督する立場にある
- 継続性:一定期間以上、反復的に接する
- 閉鎖性:密室や少人数の空間で接することがある
この3要件を満たす事業は、事業者・従事者ともに対象と整理されます。
事業者に求められる主な対応
制度対応は「犯罪歴の確認」だけに留まりません。以下の措置が一体で求められます。
1. 犯罪事実確認措置
特定性犯罪の有無を、本人の同意のもとで犯罪事実確認書を通じて確認します。対象者は、制度要件に照らして事業者が整理します。
2. 安全確保措置
日常的に性暴力を防止するための体制整備です。以下が含まれます。
- 研修の実施(従事者・管理者向け)
- 相談窓口の設置
- 早期把握のためのモニタリング体制
- 疑いが生じた場合の初動対応・通報フロー
3. 情報管理措置
犯罪事実確認書や対象者リストなど、機微性が極めて高い情報の取扱いルールです。
- アクセス権限の限定
- 保存期間・廃棄手順の整備
- 漏えい時の対応フロー
4. 就業規則・服務規律への反映
就業規則・採用関係書類の見直しも必要です。
- 採用条件の明示
- 経歴詐称への対応規定
- 手続協力義務、懲戒事由の整理
- 誓約書・内定通知書・労働条件通知書の整備
実施までのスケジュール感
施行日である2026年12月25日から逆算して、事業者が取るべきスケジュールは以下のイメージです。
| 時期 | 主な対応 |
|---|---|
| 施行6〜12か月前 | 制度理解、自社の対象範囲の整理、大枠の方針決定 |
| 施行3〜6か月前 | 就業規則・規程整備、相談窓口設計、研修準備 |
| 施行0〜3か月前 | 認定申請、確認対象者の整理、従事者説明 |
| 施行後 | 確認書取得、運用開始、定期再確認 |
準備項目は多岐にわたるため、遅くとも施行6か月前までには全体方針を固めておくことが望まれます。
「認定取得=対応完了」ではない理由
本制度の特徴は、認定を取得したら終わりではないことです。認定後に、事業者として以下を継続運用する必要があります。
- 採用の求人内容・面接時の質問事項・内定書類の見直し
- 5年ごと等の再確認
- 相談が寄せられた際の対応記録
- 研修の定期実施と記録
- 情報管理ルールの定着確認
つまり、日本版DBS対応は単発の手続きではなく、継続的な内部統制の一部として位置づけるべきものです。制度要件を満たすこと自体も重要ですが、「こどもを預かる事業者としてのガバナンス体制」として捉えると、対応の本質が見えてきます。
事業者が今から始めるべきこと
具体的には以下の順序で進めるのが実務的です。
- 自社の対象性の確認(法定対象か、任意認定対象か、対象外か)
- 対象従事者の整理(講師・保育士だけでなく補助スタッフ、送迎担当も含めて)
- 現状の就業規則・社内規程の整備状況確認(制度要件とのギャップ把握)
- 相談窓口・通報フローの現状確認(既存の相談体制の有無)
- スケジュール策定(実施日から逆算して優先順位付け)
- 専門家への相談(社労士・行政書士・弁護士との連携)
弊センターでは
日本版DBS支援センターでは、社会保険労務士法人アクセルが中心となり、行政書士・弁護士とも連携しながら、事業者様の状況に応じた支援を提供しています。
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既に対応方針が固まっている方は、個別相談からご予約ください。
参考情報
本記事は一般的な解説を目的としており、個別の対応方針は事業内容・運営実態により異なります。 具体的な対応についてはヒアリングのうえご案内します。